MPS Pete Millettです。 本日は MP6500 ステッピングモータ・ドライバ ICを ご紹介いたします。

MP6500 バイポーラ型ステッピングモータ・ドライバです。 これはインデクサのロジックと2つのPWM電流安定化 Hブリッジドライバを統合している点では、 他のステッピングモータ・ドライバICと似ていますが、 競合他社よりも すぐれた性能と、 低コストを実現する いくつかのユニークな機能を備えています。

MP6500は 28ピンTSSOPパッケージ または 5mm x 5mmのQFNパッケージで提供され、 2.5Aのピーク出力電流を供給できます。 スペースまたはコスト上の制約があるアプリケーションには, MP6600が4ミリ x 4ミリのQFNパッケージで、 すべての同じ機能と1.5Aのピーク出力電流を提供できます。 どちらの部品も4.5ボルト~35ボルトまでの単一電源電圧で 動作します。

MP6500の際立った特徴の一つは 外付けローサイドの検出抵抗を必要としないことです。 自社開発の損失のない測定技術を使用した 巻き線電流の測定と制御がIC 内にあります。 ISETピンに接続された小さな低電力抵抗を使用して 希望するピーク電流を設定します。 IC 内の電流を検出することで 電流レギュレーション回路は 電流を常時モニタできます。 これにより より正確な電流レギュレーションが可能になり 減衰モードを調整する必要なしに、 すべてのアプリケーションのパフォーマンスを 最適化することができます。

外部のシャント抵抗を使用して巻き線電流を 観測する従来のドライバでは、 電流はPWMがオンの時間にのみ測定されます。 ゆっくりとした減衰時には シャントには電流が 流れないため 電流は測定できません。

高速の減衰時には 検出電圧が負の値であり ほとんどのステッピング ICで測定できません。 電流制御回路は 減衰モード時における電流の行動がわからないため 電流調整がうまく行かず モータ性能が低下します。

ここでは MP6500を使い 12ボルト電源から 1アンペアのピーク電流を使用して、 1/8ステップモードで ステッピングモータを駆動します。 PWMの電流リップルが見えますが モータの速度を変化させても 電流は正弦波に近い良好な制御のままです。 次に一般的な従来のACステッパピング・ドライバを使い 同じ条件下で同じモータを駆動します。

電流波形を最適化し おだやかな動作を行うには、 減衰の設定を調整する必要があります。 残念ながら1つの速度で最適化を行って、 モータをより速く走らせると 電流が制御できなくなります。 この高速で減衰の設定を最適化して、 低速に戻ると 電流リップルが多く見られます。

大きな電流リップルの問題は 平均電流レベルで誤差を生じ ノイズや振動と位置決めの誤差を起こすことです。 この波形から PWMがオフの時間に 電流が検出されないため、 平均電流レベルがかなり低くなるのが分かります。

MP6500は PWM オン時間とオフ時間に 電流をモニタすることによって、 これらの問題を回避します。 通常は低速減衰を使用しますが 必要な場合にのみ サイクルごとの高速減衰に切り替えます。 これにより 電流リップルおよび平均電流誤差が 最小限に抑えられます。

この波形が示すように ステップコマンドの結果として 巻き線の電流を減らす必要がある場合、 MP6500は 電流が希望するレベルを下回るまで 高速減衰で動作します。 このため 巻き線電流が制御できなくなることはありません。

MP6500は 新しい世代のステッピングモータ・ドライバ ICで、 従来のステッピングモータ・ドライバーよりも競争力のある コストで、 すぐれたパフォーマンスを提供します。 このドライバとその他のMPSの モータ・ドライバについて、 詳しくは www.monolithicpower.comをご覧ください。